昨年より依頼を請け、1年がかりで古木ゴヨウマツを移植しました。
樹齢はおよそ150年を越えるゴヨウマツで、造り酒屋さんのお庭に植わっている物でした。
道路工事のために、建物、庭ともに立退きをしなければなりませんでした。
母屋は大変古く、とても魅力ある建物でしたが残念ながら取り壊しすることとなりました。
しかし蔵はその状態のまま、移動することとなり、その古き技術にはほんとに関心するばかりです。
そして庭の大半の植木は、撤去するしかない状態でしたが、唯一ゴヨウマツだけはどうしても「残しておきたい」と言うお施主様の強いご希望でした。
当初移植のお話を伺った時はあまりに大きく、樹齢を考えると成功の確率は低く、また植わっている場所も、川の側で状況はあまりに悪い状態でした。
成功する確率も高くありませんし、請け負って失敗する確率が高いこともあり、どうせならお断りする方がプロのプライドも保てるんじゃないかと・・・
そんな時、お客様のゴヨウマツに対する愛情と、元請け様の言葉に心の火が点きました!
「誰もが無理だ・・・出来ない」と言われると何故か成功させたいと思う気持ちが沸々と湧いてきます。
これだけの古木を移植するには、すぐに移植することは不可能に近く、昨年から根回しと言う作業を行いました。
全て人力で、慎重に根鉢を掘って行きましたが、根の少なさにどんどん心配も大きくなって・・・
あとは植木の持つ生命力に任せるしかありません。
祈りました・・・
そして一年…植木は元気そのものです。(信じられないくらい)
いよいよ移植の時がやってきました。
慎重に掘り進め、縄で鉢を巻いていきます。
鉢の大きさは直径3m、深さは1mを越える大きさです。
植木の高さは11m、幅は7m
重さは想像もつきません!
しかしここまで来たらやるしかない!
後は祈るだけ!
いよいよ吊りあげる時が来ました。
植木を吊りあげる帯は10tに耐える帯を使用。
レッカーは50t吊りの車両。
たくさんのギャラリーの見守る中、緊張の瞬間です。
上がりました!
吊りあがったときの気持ちは言葉には出来ません。
重さはなんと、10.5tありました。
長くこの仕事についてますが、最初で最後の大きさかもしれません。
無事に移植も終わり、今は養生、今年一年が大きな山となります。
あとは植木の生命力、我々の愛情、気持ちの強さ次第で元気に育ってくれると思っています。
一年後、元気に新芽を吹いているこの木を、お見せ出来る事を楽しみにしています。
追伸:元請け様 岸下建設株式会社様のホームページ上、社長様の日記に移動の動画を
アップして頂いております。
http://www.kishishita.com/

